不採算で維持困難の4号系統減便 長崎電気軌道 近くなら100円「チョイ乗り割引」開始も

長崎電気軌道は、利用客の少ない4号系統の運行本数を2022年9月1日(木)に削減するとともに、利便性の維持・向上のため運賃サービスの一部変更を実施します。

長崎電気軌道360形電車(トラムーる/写真AC)
長崎電気軌道360形電車(トラムーる/写真AC)

新たに2電停で乗り換え可能に

4号系統は長崎市街地南部の蛍茶屋電停〜崇福寺電停間を結び、同社で最も短い路面電車系統です。現行ダイヤでは早朝から夜間まで計88便が運行されていますが、効率化と合理化のため、朝と夕方のみ運行の計24便へ削減されます。長崎電気軌道によると、少子高齢者や県外への人口流出が近年進んでおり、その上で新型コロナウイルス感染症の影響が乗客減少に拍車をかけ、不採算系統を維持することが困難になったとしています。

4号系統の減便により、時間帯によっては乗り換えなしで利用できず、2回分の運賃が必要となる区間が発生してしまいます。この利便性低下を緩和するため、西浜町電停と長崎駅前電停を新たに「IC乗り換え」の有効電停として追加するよう国土交通省に申請が行われ、7月27日(水)付で認可されました。従来から乗り換え電停に指定されている新地中華街・市民会館と同様、「nimoca」など10種類の交通系ICカードで30分以内に乗り換えることが条件で、2回目乗車の運賃が無料となります。

具体的には、西浜町電停では1号系統(崇福寺方面)と5号系統(蛍茶屋方面)が相互で乗り換えでき、4号系統の代替としてこれまでと同じ1回分の運賃での利用が可能となります。長崎駅前電停では1号系統(崇福寺方面)と3号系統(蛍茶屋方面)が乗り換え対象となり、観光通・思案橋・崇福寺の各電停〜桜町電停間が引き続き1回分の運賃で利用できるようになります。

また、今回の追加で新たにIC乗り換えの恩恵を受けられるのは、五島町・大波止・出島の各電停〜桜町電停間の利用です。この場合も長崎駅前電停で乗り換えると1回分運賃で移動できるようになり、利便性が向上します(IC乗り換え対象区間の路線図など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】長崎電気軌道 2022年9月1日(木)から4号系統減便・運賃サービス一部変更

近距離ならワンコイン運賃に

これらの施策に合わせ、2区間以内の乗車がおトクになるICカード限定の新たなサービス「ICチョイ乗り割引」が開始します。乗車電停から1つまたは2つ先の電停までで降車した場合、大人100円・小児50円のワンコイン運賃が適用され、通常運賃(大人140円・小児70円均一)より割安になります。途中電停でIC乗り換えを行った場合でも、合わせて2区間の乗車であれば割引対象となります。

この割引制度は、自動車を持たない高齢者や学生など交通弱者の近距離移動を支援する目的で導入されます。長崎電気軌道は、より手軽に路面電車を利用できるようにし、公共交通の利用促進や地域活性化に寄与することを目指すとしています。